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【桐久様から】懇望届かずとも【鍵主】

「花薄」の桐久さまからいただいちゃいました…なんとなんと!!!!
鍵主…しかも!鍵×千遥で!!!!!!!!
忍者パロですうわあああ有難う御座いますごろごろごろ!!!
千遥書いていただいたの初めてなので更に嬉しさ倍増ですッ…
によによしすぎてネタバレになるので下に感想かきます(笑)

お話は追記にたたんであります!ずずっとどうぞ♪









懇望届かずとも






夕暮れ時、二人で立つあの場所は、いつだって優しかった―――
決して終わらないものであると、そうであって欲しいと、願っていた―――


―――ザザァ…
夜風に乗るように、木々の間を、枝を飛び越えながら奔る。
「―――」
―――キンッ!!
時折交わる刀の剣戟に合わせて、火花が散り、耳を劈くように金属音が響いた。
刃は交われど、相手の姿は見えない。
在るのは、僅かな気配と、緊迫した空気のみ。
いや、もしかしたら―――わざと感じ取れるようにされているのかもしれない。
“アイツ”なら、気配など片鱗すら表わさない事も出来るだろう。
一瞬だけ過った回顧に込み上げた弱い感情を、強引に押し込める。
油断は死に繋がる。
それは忍である以上、当然のことで。
装束を纏い、こうして対峙している以上、覚悟して然るべきものだった。
―――ヒュンッ
「ッ!」
回転打で猛然と飛んで来た手裏剣の先端が、木々の隙間から注ぐ月光にきらりと光る。
一刀目は、頭。
二刀目は、右大腿。
―――キンッ!!キンッッ!!
的確に部位を狙われた攻撃を、空中でいなし、木の枝に立つ。
着地の反動で、動きを止めた刹那―――ぞわりと“目”が警告を発する。
「ッ!?くっ…」
失敗したと思い、回避に踏み出そうとした足は、既に硬直し動かなくなっていた。
―――影縫い。忍の術法の一つ。
月光が照らす枝に、自分の影が伸びている。
その端に、光る針。影縫いの≪気≫が籠められた針だ。
いつの間に投げられていたのかすら、俺にはわからない。
おそらく、この場に俺が立つのも、計算の内だったのだろう。
「チッ…」
してやられたと思い、重石を載せられたかのように鈍くなった体を鼓舞し、強引に解印を試みる。
だが、音もなく眼前に現れた人物に、体は自然と動きを止めてしまった。
「―――」
「気は済みやしたかい?」
緊迫した空気に似合わぬ、飄々とした声だった。
そんな声と姿に、俺はただ見入り、言葉を無くす。
ぴんと伸びた狐耳。
束ねられた金色の髪。
淡くも形だけの笑みを浮かべた唇。
俺とは違う褐返色の忍び装束のせいか、月光のせいか―――見慣れていた筈のソイツは、怜悧な印象を色濃く胸に抱かせる。
こんなにも…変わってしまうものなのだろうか…。
覚悟をしていた筈なのに、甘さを消せない自分を知覚して、苦い感情が競り上がって来る。
眼前にいるのは、俺が追っていた相手であり、先程まで剣戟を交わしていた相手。
誰よりも追わなければならないかつての同胞――――抜け忍の鍵だった。
「…」
「どうしやした?フフッ…まるで化かされたかのようなご様子だ」
「…そんなんじゃねぇよ」
声を聞くのも、姿を見るのも、二月振りだ。あの、夜以来―――
「お元気そうで何よりだ。あの夜の後、熱を出したと聞きやしたからね」
「ッ!!」
反射的に身構えようとするのを、影縫いが止める。
悔しさと羞恥にかっと胸が焦げた。
感情のまま睨めば、くつくつと冷えた笑いが鍵の唇から零れる。
笑いを零しつつ、開いた目蓋の奥。
妖しい光を宿した紅い瞳が、俺を映す。
「―――ぁ…」
それは、あの夜―――鍵が里を抜ける前夜に初めて見た、紅い瞳。
化生の証―――
蓋をした筈の二月前の出来事が、じわじわと記憶の奥底から這い出て来る。
―――あの夜。
あの夜も満月だったと、空を見上げ思う。
今日と同じくらい明るくて、どこか冷たい光を纏った明月だった。
…思い出したくない。
けれど、一度封を解いた記憶は蘇る事を止めず、全身に怖気が走る。
ぶるりと震える俺の体を、鍵が瞳を閉じて笑う。
その笑みの冷たさは、月光の冴え冴えとした輝きと相俟って、心を畏怖が占めた。
「その様子じゃ、誰にも言ってないようですね」
「言えるかッ!!あんな…あんなこと…」
煽られていると分かっても、まざまざと眼前に記憶が映し出されれば、声を出さずにはいられなかった。
二月前。
まだ秋風が涼やかだった頃。
“その日”は、酷く胸騒ぎがしていた。
急き立てられるかのように、怯えるかのように、胸の中をざわざわと何かが掻き回していた。
思えば、予兆はきっとあったのだ。
予兆と気付き、コイツの様子に気付いていたら、何か変わったのだろうか。
あんな夜を迎えずに済んだのだろうか…。
満月が光降り注ぐ夜半―――俺は、鍵に抱かれた。
戸惑う間も無く組み敷かれた体は、一言の会話すらなく、貪られた。
果て無い暴力にも似た行為は、俺を貪り、辱め、理不尽に“俺”という存在をバラバラにした。
覚えているのは、熱さと吐息。
汗と涙。
心と体を抉る痛み。
そして―――暗闇に映える紅い瞳と、唇が形作る残酷なまでに艶やかな笑み。
熱に魘され、自分がかき消える悪夢から目を覚ませば、時は三日も過ぎ、鍵の姿はどこにもなかった。
―――抜け忍として、敵対する里に身を置いた事実を残して。
「あんなこと、ねぇ…?」
「ッ!」
鍵の揶揄する視線に動かぬ体を捩ろうとすれば、鍵の笑みが濃くなった。
冷淡な愉悦が多分に含まれた笑みは、獲物を捕捉する動物のそれに似ていた。
「くくっ、いけやせんよ。忍が怯えを見せるなど軽率過ぎやす。ここは里じゃない」
「そんなことわかってる!」
嘲笑うようなそんな笑みで話しかけられたくなくて、苛立った心が声を張り上げさせる。
そんな俺に反応した鍵の眉と耳がぴくりと動き、表情から笑みが消える。
同時に漂う重厚な空気に、異物を飲み込んだかのように喉が苦しくなった。
「…何で里を抜けたんだ?…何で…」
聞いても意味がないと分かっていても、聞かずにはいられなかった。
里の掟は絶対だ。
抜けた以上、掟の誓約によって、討ち滅ぼされるまで追手を差し向けられるのがさだめ。
今でも俺は、まだ悪夢の中にいるんじゃないかって気になる。
これは現(うつつ)で、拭えない事実だっていうのに。
「さあ…なんででしょうね?」
「とぼけるな!俺や里を捨ててまで、アイツ等につく必要がどこにあったっていうんだよ!?」
「俺を捨ててまで、ですか…」
「っ!」
鈍い輝きの眼光に射抜かれ、息を呑む。
その視線は確かに俺を見ているのに、籠められた感情は全く読めなくて。
禍々しさすら感じる紅色に、思考が呑まれそうになる。
「…連れ去ったなら付いて行ったとでも、おっしゃいやすかい?」
「なっ!?」
意外な言葉に上擦った声が出た。
跳ねる鼓動が痛いくらいで、俺は鍵が言った言葉を確かめるように、その顔を見る。
けれど、一拍の間を置いて、吹き出すように笑われて、かあっと頬が熱くなる。
「う、うぬぼれるな!あんなことをしておいて、何を言っていやがる!あんな…」
「くくっ、そんなに繰り返されると、また“あんなこと”をして欲しいかのようだ」
「っ!」
するりと頬に触れた指先は夜気より冷たく。
反射的に強ばる表情を楽しむかのように、鍵の手が頬を滑る。
「や、やだ!触るなっ!」
「相変わらず柔らかい頬だ…ふふ」
指先から掌と。
ゆるゆると動くその手と注がれる眼差しに、息が詰まる。
なぞるように滑る指先は、あの時、胸や足を這った手の感触をじわじわと思い出させる。
「離せ…!っく」
解こうにもこいつの方が術力は上で、おまけにぞわぞわと追い詰める冷たい手の感触に、集中が途切れる。
「―――千遥」
囁かれる俺の名前。
二月ぶりに鍵の口から聞いた名前は、とても自然で、何一つ変わらなくて。
変わっていないことと変わっている現状との相違に、胸が締め付けられた。
「い、今更名前なんて呼ぶなッ!敵に名前で呼ばれる筋合いはない!」
自分の綯い交ぜになる感情を振り払うように、声を張り上げれば、ぴたりと鍵の手が止まる。
夜風が緩く二人の間に吹く。
風が虚空に流れ去るのに合わせて、鍵の手も俺からすうっと離れた。
その様に込み上げた痛みを考えたくなくて、ここに来るまで思い続けた言葉を反芻する。
そう、敵なんだ。
もうこいつは…敵。
何度も思った言葉。
そして、言い聞かされた言葉。
もう―――変えられない事実。
「私を一度も名で呼ばないのもそうした理由で?」
静かな声だったが、尋ねて来る鍵の表情を見たくなくて、俺は顔を伏せた。
「……お前なんて…お前で充分だ。抜け忍をわざわざ呼称する気はない」
「そうですかい」
「…」
流れる間が、重く胸にのしかかる。
どうして俺はこんなにも…苦しくなる心を抑えないといけないのだろうか。
手酷いことをされたのは俺だっていうのに、それでも俺は鍵との間に流れる冷たい空気に、徐々に耐えられなくなっている。
許せないと思っている。
裏切られたと思っている。
怒りと悲しみと、痛みと羞恥と。
そのどれもが辛くて、どれからも俺は解放されないでいる。
けれど、鍵の“真実”はわからない。
追跡する任を命じられ受けたのは、二月経っても尚消えない鍵の面影を追って、何かを得たかったのかもしれない。
現実は決して温くはないというのに、それでも俺は―――
「里を抜けて何になるんだよ…。里を滅ぼしたいのか?」
「別に里などどうでもいいんですよ、私にはね」
「嘘だ!」
「―――」
冷笑と共に呟かれた言葉を、俺は否定した。
反射的に上げた視線が、鍵と重なる。
鍵が里のことをどうでもいいと思うなど、嘘だ。
コイツは誰より里が好きだった筈だ。
―――十年前。
“一緒に来やすかい?”
行き場の無い俺を、鍵は拾ってくれた。
何処にも居場所が無くて、信じる事を拒否して、何もかもを遠ざけたかった俺を。
黙ったままふらふらと付いて来る俺を、鍵は導くようにその場所に連れて行った。
辿り着いたのは、夕暮れに染まる丘。
眼下に広がる集落を、鍵は“里”と呼んだ。
忍びの集落。秘密の里。
眼下の光景を指差しながら、俺に里の事を語る鍵の声と眼差しはとても優しかった。
“きっと、坊も好きになりやすよ、ここをね。だから…もう、怯えなくていいんですよ”
微笑んで握られた手。
夕焼けに染まった景色は綺麗で、温かくて。
だから、俺は鍵の手を握り返して、自分もこの場所を好きになれるだろうかと、捨てた筈の希望を見出したのだから。
それ以来、毎日登っていた丘。
そこから見える景色を眺める鍵は、いつも優しくて穏やかだった。
鍵にとって里は、大事な居場所なんだと、俺は言われなくたって分かっていた。
なのに…どうしてそれを安易に否定出来るというのか。
俺以上に思い入れのある里を、鍵が憎しみを持って見るなんて考えられない。
ならば―――何故、今こうなっているのか…。何故。
「やれやれ…坊にも困ったものですね」
重なる視線を先に外したのは、鍵だった。
鍵が溜息を零し、薄く笑う。
「言っていることがちぐはぐだと思いやせんか?私を敵だと言いながら、私が里を軽視する訳がないとおっしゃる。私を憎んでいるでしょうに、その言葉は私を気遣っている」
「俺は…」
わかっている。
憎しみは結局言い聞かせているのでしかないと。
浸食された恐怖は、生々しい。
思い出すことは正直怖くて堪らない。
けれど、それでも。
鍵が何故里を抜けたのかを知りたかった。
得たかった何かは―――理由。
俺は…結局―――鍵をまだ…信じたいんだ。
甘さが命取りだと散々言われていたというのに。
俺は、鍵がくれた優しさまで捨てたくなかった。
「―――まったく…」
鍵がふぅっと息を吐く。
ゆっくりと両肩を掴まれる。
見上げれば、満月を背に、揺れる瞳が俺を見ていた。
「け―――ッ!?」
それは一瞬で消えたけれど、二月振りに“鍵”を見た気がして、唇から自然と名が零れかける。
だが、緩く掴まれていた両肩に、ギリッと鍵の爪が食い込み、痛みが言葉を阻む。
そして、変質した空気に息を呑んだ。
ゆらりと、鍵の体から立ち上る金色の光。
俺の“目”だからこそ感じる、妖の気配。
戸惑う俺に、にたりと鍵が笑った。
口から覗いた牙に後ずさりしかけるのを、術と食い込む手が阻む。
「……。…飢えの時期がありやしてね」
「…?」
「一生に一度あるかないかのものなんですが、私の一族にはそんな因果がありやす」
落ち着いた声。
だが、ゆらりゆらりと上る陽炎のような気配に呼応して、俺の体には冷たい汗が吹き出る。
「それ故に私の母は私を捨てやした。因果が回る事実をこれ以上目にしない為に」
初めて聞く事だ。
家族はいないと言っていたけれど、それは生き別れたか何かだと思っていた。
「…」
「去年、断食の修行がありやしたね。覚えてますかい?」
「あ、ああ…」
訥々と紡がれる言葉。
声音は静かで、普段聞いていたものと変わらないのに。
―――怖い。
“目”が警鐘を鳴らす。ここに居てはいけないと。
―――逃げるなら今しかないのだと。
「あの何十倍もの飢餓と言えば宜しいのか。坊を喰らった夜はまさに渇望しかありやせんでした」
「!」
鍵が笑う。冷たく、妖しく。
唇からちろりと垣間見えた紅い舌先に、ぞわりと肌が粟立つ。
「渇きに頭の中が赤く染まるんですよ。血だまりに嵌まり、ずぶずぶと沈み込むように、ね」
「ッ!」
鍵の瞳が開く。
覗いた紅い瞳に射抜かれる。
先程見たそれより、もっと紅い…鮮やかな血の、色―――。
「飢えを満たすには、贄が要りやす」
「贄…」
「そう…」
動けない俺の頬を再び鍵の手が滑る。
俺はただ目を見開いて、紅い瞳から視線を逸らせないでいる。
鍵は俺の目の中の自分を見るかのように、顔を近づけると、すっと唇を俺の耳元へ寄せた。
「犯し、辱しめ。喰らい、貪り。哭かせ、喘がせ…ひたすら己の飢えを満たさせるだけの贄が…必要なんですよ、私には」
「んっ!!」
食まれた耳朶。
そのまま舌先がちろりちろりと、耳朶の輪郭をなぞり舐め上げる。
「よ、よせ!」
「怖いのでしょう?本当は?あの夜も震えていた」
「っ、は…」
鍵の咥内に含まれた耳朶が、弄ばれる。
緩く噛まれ、ねっとりと舐められ、その度に全身にぞくぞくと痺れが込み上げる。
痺れが同時に運ぶ甘さが怖くて、俺は鍵から逃れようと身を捩る。
途端に、術が強まる。
影縫いで動かなかった下肢から、全身に絡まる力。
ぐらりぐらりと酩酊する感覚に、体が抗する力を逸し、意識に霞がかかる。
まずいと思った。
警鐘が頭の中を反響するのに、痺れが広がって、指先にまで力が入らなくなる。
「―――痛ッ!」
痛みに視界が一瞬赤く染まる。
鍵が首筋に噛みついたのだと、遅れて気が付いた。
流血する感覚。
伝う朱を紅い舌が舐め、唇が啜る。
その様に、体が疼いた。
体の芯が火を点したかのように、熱を帯びる。
欲なのだと、ゆっくり知覚し、体がかたかたと震えた。
嫌、だ…あの夜を繰り返すのは、それは、嫌だ…。
欲と恐怖が心身を浸食して行く。
追いつめられた罪人のように震える俺を、鍵が笑いながら、撫で回し始める。
「ふ、ぁ…」
「妖の精は人には強すぎやすから、ね…。人としての≪気≫が強い坊には、荷が重いでしょう」
「あ、やだ!!やめっ…」
上衣の前を寛げられ、外気に触れた胸元に直接鍵の手が這う。
触れられるだけなのに、触れられた箇所が、快楽の熱をじわじわと体を心に広げていく。
立ち上る金色の光が見える。
鍵の体から、俺の体へと蛇のように絡まっていく力が。
「んんっ!!」
「可愛いですよ、坊。本当に素直な体だ」
「ふざけ…る、な…っ…!ひぁっ!」
じんじんと鈍く痛み始めていた胸の先端を、爪で軽く引っかかれば、体が仰け反り甘い声が闇夜に響く。
「くく…」
「―――ぁ…」
「貴方は素直で、それ故に眩しく。それ故に…私は―――…れぬ―――…をしやした」
「…?」
一瞬、耳を掠めた声は、交わした会話の何よりも真摯で。
けれど、何を言われたのかわからず、霞む意識に抗いながら顔を上げる。
一瞬、月光の目映さに目が眩み、目を閉じる。
再び開いた目に映ったのは―――紅。
残酷な輝きを宿した鍵の目だった。
「―――!」
にやりと鍵が笑う。
残忍さしか感じられない輝きに、どくりと心臓が跳ねた。
「ぁ…」
「今日は貴方の負けだ。負けた以上…加減などしやせんよ?」
腕を強く掴まれる。
乱暴に木に押さえつけられ、探ろうとした言葉はもう聞けなかった。
何とか言葉を紡ごうとした唇が、鍵の唇に塞がれる。
たちまち貪られ、舌先が口内を蹂躙する。
息が詰まる。
愉悦と欲情に満ちた気配が、笑っているのが分かる。
絡め取られた手。
体は抵抗を許されないまま、鍵の手が導く快楽に染まって行く。
―――贄。
―――飢え。
…わからない。
けれど俺は鍵兄を…鍵を…―――
「千遥…」
名を呼ばれる。
冷たくも、淫蕩に満ちた声音で。
絡め取られる意識に、緩々と首を振る俺の胸元に、鍵が嗤う吐息が降りかかる。
それにすら、疼き始めた体は仰け反り、鍵の手に合わせて躍る。
届けたい言葉は届かず塞がれ、差し伸べたい手は届かず押さえ込まれる。
また…何も聞けないのだと、届かないのだと思い知って、溢れる涙を鍵の舌が掬った。
侵食され、堕ちる刹那。
脳裏を掠めたのは、鍵とまた笑い合ってあの丘に立てたらなんて、そんなちっぽけな願いだった。






*・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・*:゜・*:.。

がほがほ!!!うわー切ない…切なくて仕方ない…!!!。゜゜(´□`。)°゜。
名前を呼ばまいとする所とか、信じたい気持ちとかあうあう可愛いおやばかだろうが可愛い←
鍵兄とかもよいですね呼び名…あばばたまらぬ
というかおきつねさんえろいです首にがぶりとかなん…もう…はげもえる…
鍵ちゃんの一族の悲しく恐ろしい運命も。こちら続きがありまして、そちらで詳しく語られるのですが。
愛しいがゆえの苦しみが…届かない声。伝えられない真実の想い。
二人がどうなっていくのか見守っていきたいのです。鍵ちゃんの仕草がたまらな(ry

素敵なお話有難う御座いましたああ!!!【愛】

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